界面活性剤とは
1つの分子内に水になじみやすい部分(親水基)と、油になじみやすい部分(疎水基・親油基)を持ち、表面または界面の性質を変化させる物質の総称。
石鹸をはじめとする洗剤の主成分です。
界面活性剤の種類
界面活性剤は、イオン性界面活性剤3種と非イオン性界面活性剤1種の4種に分けられます。
陰イオン界面活性剤(アニオン界面活性剤)
水に溶けたときに、親水基部分が陰イオン(-)に電離する界面活性剤
陽イオン界面活性剤(カチオン界面活性剤)
水に溶けたときに、親水基部分が陽イオン(+)に電離する界面活性剤
両性界面活性剤(アンホ界面活性剤)
水に溶けたときに、アルカリ性領域では陰イオン界面活性剤の性質、酸性領域では陽イオン界面活性剤の性質を示す界面活性剤
非イオン界面活性剤(ノニオン界面活性剤)
水に溶けたときに、親水基部分がイオン化せず、水の硬度や電解質の影響を受けにくく、他の全ての界面活性剤と併用できる界面活性剤
界面活性剤の役割
洗浄
メイク落とし、シャンプー、洗濯用・食器用洗剤など
イオン性界面活性剤には、肌や衣服などについた汚れを落とす洗浄の役割があります。
水中で油分を含む汚れがあると、汚れに疎水基が付着し、親水基は水中方向に向きます。
(油分を含まない親水性の汚れは、水中にある時点で、水に溶けます。)
すると、汚れは、界面活性剤に吸着されるため、水を流すことで汚れも一緒に落ち、洗浄されます。
起泡・消泡
石鹸、シャンプー、ボディソープ、洗濯用・食器用洗剤など
界面活性剤には、泡を作る起泡、泡を消す消泡の役割があります。
泡は、気体を界面活性剤が包み込むことで生まれます。
泡を一定時間維持することができる理由は、イオン性界面活性剤が分子同士の静電反発を起こし、泡の膜が薄くなることに抵抗しているためです。
その逆に、非イオン界面活性剤は、静電反発を抑えるため、消泡の役割で用いられます。
乳化・可溶化
乳液、化粧水など
界面活性剤には、水と油のように混ざり合うことができない液体同士を、分離せずに均一に混ぜ合わせる、乳化の役割があります。
油の分子に界面活性剤の疎水基か吸着し、親水基が水に触れるため、水と油が混ざることができます。
分散・凝集
リップグロス、墨汁など
液体と液体が混ざり合うことを乳化と言いますが、液体と固体が混ざり合うことを分散と言います。
界面活性剤には、分散する役割と、逆に分散した固体粒子を集める凝集する役割もあります。
例えば、水とすすは、そのままだと混ざり合うことはできませんが、界面活性剤を加えることで分散し、墨汁などができます。
帯電防止・柔軟
コンディショナー、リンス、柔軟剤など
陽イオン界面活性剤や両性界面活性剤は、静電気(マイナス電気)と結合し、静電気の帯電を防止します。
すると、物質と物質の摩擦が軽減されるため、例えば、コンディショナーでは、さらっとした髪の仕上がりとなり、繊維では、肌触りの良い柔らかな布となります。
このように、界面活性剤は様々な化粧品や日用品に配合されています。
次は、実際に界面活性剤が肌でどのような働きをしているのか見てみましょう。
肌に存在する界面活性剤
肌にも元々微量な界面活性剤が存在しています。
それは皮脂に含まれており、皮脂膜を形成する際に汗と乳化するために存在します。
皮脂膜は、肌を外的刺激から守るバリア機能を担うため、肌にとって界面活性剤は、大切な存在となります。
化粧品に配合される界面活性剤
化粧品や生活用品などから界面活性剤を肌に与えると、どのような働きをするのでしょうか。
界面活性剤(正確には界面活性剤と水分が合わさった物質 ex .洗顔料、化粧水、乳液など)が肌につくと、肌表面に存在する皮脂は乳化されます。
界面活性剤で乳化された皮脂は、水で洗い流すと一緒に流されるため、肌の皮脂は減少します。
基本、皮脂は減少しても自然に生成されるため、皮脂膜も問題なく形成されますが、
・繰り返し界面活性剤を塗布していたり
・繰り返し界面活性剤を塗布していたり
・肌が紫外線や乾燥などによりダメージを負っていたり
・加齢やホルモンバランスなどにより自然治癒力が低下していたり
すると、皮脂の生成力は低下し、皮脂膜は形成しづらくなり、バリア機能の低下につながります。
洗顔料やボディソープなどは、主に肌についた汚れを落とす洗浄目的で、界面活性剤を配合してますが、化粧水や乳液などでは、肌に美容成分の浸透目的で界面活性剤を配合している物もあります。
浸透目的では、界面活性剤で肌のバリア機能を一時的にとくことで、美容成分を角層奥深くまで浸透させます。
界面活性剤の多用
界面活性剤は、肌の油分をとるため、肌になじませ水で洗い流すと、肌のベタつきが解消されてすっきりする感覚があると思います。
しかし、界面活性剤の多用は、肌に負担を与えます。どのような影響を与えるのか見てみましょう。
外的刺激から肌を守れなくなる
界面活性剤の多用は、肌の皮脂をとりすぎてしまうため、バリア機能は低下し、紫外線や外的物質などからの刺激から肌を守れなくなってしまいます。
肌の乾燥を引き起こす
皮脂の減少により、肌の水分蒸散が盛んになり、乾燥肌、さらに乾燥によるあらゆる肌悩みを引き起こします。
皮膚疾患を引き起こす
皮脂の減少により、肌細胞は皮脂を過剰に生成してしまい、脂性肌、ニキビ、脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患を引き起こす原因にもなります。
常在菌のバランスが崩れる
界面活性剤は、肌表面に存在する常在菌も洗い流すため、常在菌バランスが崩れ、肌荒れを引き起こします。
ターンオーバーのサイクルを乱す
皮脂膜や常在菌には、ターンオーバーの働きにも関わるので、界面活性剤の多用はターンオーバーの乱れの原因にもなります。
まとめ
界面活性剤は、分子内に親水基と疎水基を持ち、表面または界面の性質を変化させる物質の総称。
イオン性界面活性剤3種と非イオン性界面活性剤の1種で種類が分けられます。
界面活性剤の役割には、主に「洗浄」「乳化・可溶化」「分散・凝集」「帯電防止、柔軟」があります。
肌にも元々界面活性剤は存在しています。
界面活性剤の多用は、バリア機能の低下た常在菌バランスの乱れにつながり、肌荒れを引き起こす可能性があります。
界面活性剤の働きを理解し、肌に必要な時に、必要な量だけ使用することを意識していきましょう。
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