バリア機能の働き
体の健康を守る皮膚の働きの一つです。
摩擦、紫外線、細菌・ウィルスなどの外部刺激から体を守ります。
バリア機能のある場所
表皮にある角層でバリア機能は働きます。
皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されています。
さらに表皮は、中でも4層に分かれており、外側から角層、顆粒層、有棘層、基底層となります。
その角層は、「皮脂、角質細胞間脂質、天然保湿因子(NMF)」の3つの保湿因子から成り立ち、それらが組み合わさりバリア機能を担っています。
皮脂
皮脂腺から分泌される脂質。汗腺から分泌される汗と混ざり合うと、皮脂膜ができ、皮膚表面を覆い、過剰な水分蒸散を防ぎます。
角質細胞間脂質
角質細胞間の隙間を満たす脂質。セラミドなどからなる油分層と水分層が、ミルフィーユのように何層も交互に重なり合う「ラメラ構造」を形成し、角層細胞を支えています。
天然保湿因子(NMF)
主にアミノ酸で構成された水分保持をする因子。
角質細胞中に浮遊状態で存在し、水分を一定に保持する役割があります。
バリア機能の低下
バリア機能の低下とは、角層が剥がれ落ち、隙間ができ、紫外線、ウィルスやアレルギー物質などの外的刺激から肌を守れなくなる状態のことです。
アトピー性皮膚炎、湿疹等の肌トラブルの原因にもなります。
バリア機能低下の原因
・空気の乾燥、紫外線
空気が乾燥していると、肌の水分蒸散は増加します。
すると、肌内部は乾燥し、肌表面の角質層は乱れ、バリア機能の低下に繋がります。
紫外線は、表皮、真皮まで到達し、細胞にもダメージを与えるため、バリア機能に重要な、保湿因子の産生を滞らせます。
・花粉や埃などの外的物質の付着
花粉、埃、PM2.5などの外的物質が肌に付着し、毛穴に入り込むと、皮脂や汗の分泌がスムーズにできず、皮脂膜の形成ができなくなり、バリア機能は低下します。
さらに毛穴トラブル、ニキビ等の炎症原因にもなります。
・生活習慣の乱れ
・睡眠不足
睡眠時に、体は成長ホルモンを分泌し、肌のターンオーバーを促進し、ダメージを回復します。(ターンオーバーとは)
睡眠不足になると、肌は、ダメージの回復が疎かになり、バリア機能の形成もおろそかになります。
・食事生活の乱れ
栄養バランスが偏って、タンパク質やミネラルが不足すると、肌は乾燥を引き起こします。
また、食べすぎや飲酒などで、胃腸や肝臓に負担をかけることで、消化機能、解毒機能が滞り、肌にも悪影響を及ぼします。
・ホルモンバランスの乱れ
女性は、生理周期でホルモン分泌が変化します。
生理前は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が活発化し、皮脂分泌量が多くなります。
皮脂分泌が多くなることで、皮脂膜の形成に関わる汗と皮脂のバランスが崩れ、バリア機能の低下に繋がります。
バリア機能を高める方法、低下させないための対策
・肌を清潔に保つ
洗顔で、埃や花粉、メイク汚れを取り除き、洗顔料の洗い残しに気をつけましょう。
肌を清潔に保つことで、毛穴からの汗・皮脂分泌もスムーズに行われ、バリア機能を担う皮脂膜の形成を維持します。
・乾燥予防をする
空気の乾燥、肌の乾燥、両方の対策が大切です。
空気の乾燥には、加湿器の使用や濡れたタオルを干すなどし、湿度を約50~60%に保ちましょう。(空気の乾燥と肌の乾燥の関係性)
肌の乾燥ケアには、保湿パックや化粧水などで、潤いを与え、バームやオイルなどで過剰な水分蒸散を防ぐケアをしましょう。
また、紫外線も肌乾燥を招くため、外出時は特に紫外線ケアを行いましょう。
・バランス良く栄養を摂る
バリア機能を正常に保つために、特に重要な栄養素はこちらです。
ビタミンA…肌や粘膜にうるおいを与え、バリア機能を向上をし、外的刺激からの抵抗力を高めます。
食べ物:レバー、うなぎ、にんじん、小松菜、ほうれん草、海藻類
ビタミンB6…抗アレルギー作用を強化し、かゆみや皮膚炎などにかからないようにします。タンパク質をエネルギー変換し、合成をサポートします。
食べ物:鶏むね肉、マグロ、ピスタチオ、バナナ、ニンニク
ビタミンE…紫外線などの外的刺激から、肌を守り、バリア機能を安定させます。
食べ物:すじこ、いくら、イワシ、アーモンド、ヘーゼルナッツ
(肌に良い栄養素)
まとめ
バリア機能は表皮にあり、摩擦、紫外線、細菌・ウィルスなどの外部刺激から体を守る働きを担います。
バリア機能を保つには、皮脂、細胞間脂質、天然保湿因子(NMF)のバランスが大切です。
バリア機能を低下させる要因は、乾燥や紫外線、花粉などの外的物質、生活習慣の乱れなどです。
バリア機能を高めるためには、肌を清潔に保つ、保湿ケアをする、バランスの良い食生活、ライフスタイルを送ることが大切です。
バリア機能を正常に保ち、健やかな毎日を送りましょう。
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